テレビ、YouTube、ネットニュース、書籍。
どのメディアでも最近ひと昔前よりも確実に取り上げられることが多くなった投資関連の話題。
特に本屋に行くと投資熱が世間でヒートアップしているのを表すかのごとく、投資本、NISA関連の特集雑誌のまあ多いこと。
かくいう私も3年前から旧つみたてNISAを始めているひとりではあります。人のこと言えませんやね。
一体初心者はどれを読んだらいいのやら。
と、思うわけですよ!
うわ、ビックリした。何よ藪から棒に(ヤブだけに)
以前「すごい貯蓄」を読んでコツコツ貯金をしてそろそろ投資と思って本を読んで勉強しようと思ったらどれを読んだらいいか分からないくらい本があふれかえっているわけですよ!
どうやら貯蓄に励み、お金に余裕ができたタイミングで投資を考え始めた模様です。
うん、頑張ったね。そんなあなたにはやっぱりこれだわ。
新NISAに対応するために全面改訂された超ロングセラー書籍「ほったらかし投資術」。
投資の名著は数限りなくありますが、
投資はNISAだけでいい
と思って絶賛投資検討中のネオNISA民には是非真っ先に読んで欲しいおススメ本です。
なぜ他の名著を押しのけて「ほったらかし投資術」を読むべきなのか?
ウォール街のランダムウォーカー(バートン・マルキール著)、敗者のゲーム(チャールズ・エリス著)、金持ち父さん貧乏父さん(ロバート・キヨサキ著)、バビロンの大富豪(ジョージ・S・クレイソン著)などの海外のロングセラー本の数々。
当ブログでも取り上げてきたpsychology of Money(モーガン・ハウセル著)や私の財産告白(本多静六著)などももちろん良著ですし、
近年世間でヒットしたお金の大学(両@リべ大学長著)や、ジェイソン流お金の増やし方(厚切りジェイソン著)などトレンドを取り入れた読みやすい本も登場しています。
それらは名作なのは知ってますが、どうもピンとこないんです。なんかこう・・・どの人も専門家というか、達者すぎで迷いがないってっていうか・・・。
なるほど、今の投資入り口の自分の姿と重ならないってわけだ。
これら著作人は投資や経済の専門家か、もしくは収入の突出した職業で起業家実業家も兼ねて成功している人がほとんどだという点。
要するにお金や投資に対する‟素人くささ”がない人たちばかりです。
「ほったらかし投資術」は共著であり、今年初めに亡くなった山崎元氏は三菱商事を経て、晩年まで楽天証券に携わっていた経済評論家でいわば玄人ですが、
もう一人、著作者の水瀬ケンイチ氏は現在もIT企業に勤務する正真正銘のサラリーマンであり、20年以上ほったらかし投資を体現してきた「生きた証拠」であります。
そんな両人の投資思想は酷似しており、ブームになるはるか前から積立投資、インデックス投資を提唱してきた点で共通しています。
経済の専門家と民間の投資実践家が意気投合してタッグを組んだ本だからこそ、投資初心者が読んでもわかりやすく信頼のおける内容となっているのです。
3回も全面改訂したロングセラー「ほったらかし投資術」の著者と内容
改めて「ほったらかし投資術」著者のご紹介を。
山崎元(やまさきはじめ)
北海道出身の経済評論家。マイベンチマーク代表。三菱商事や金融業界で12回の転職を繰り返し、楽天証券経済研究所客員研究員となる。資産運用の専門家であり、インデックス投資と積立投資を早くから提唱してきた地に足の着いた経済思想の持主。2024年1月食道がんにより65歳で死去。
著書に「難しいことはわかりませんがお金の増やし方を教えてください」「山崎先生、お金の「もうこれだけで大丈夫!」を教えてください。90分で役に立つお金の授業」「がんになって分かった「人生」と「お金」の本質」など多数。
水瀬ケンイチ(みなせけんいち)
東京都出身で現職のIT企業勤務会社員。投資系ブログ「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」で自身のインデックス投資の実践を発信し続け、注目を集める。数多くの金融メディアに取り上げられ、元祖インデックス投資家の一人として活動中。2021年資産1億円を突破したことを発表し、インデックス投資による富裕層の可能性を証明する。
著書に「お金は寝かして増やしなさい」「お金が勝手に増える「熟成」投資術」
初版から10年、全面改訂された第3版の本作ですが、基本的な方針はほとんど変わっていません。
大きな変更はNISA等現在の新制度の設立に沿った内容に対応したこと、最新の金融投資事情への更新、それと昔よりはるかに良質になったインデックス商品に投資を促すようになったことくらい。
本の要約はこれに尽きます。長期、分散、積み立て。
もうちょっと詳しく言うと、3ヶ月から6か月の生活防衛資金を蓄えてお得な非課税制度であるNISAやiDeCoに優良なインデックス投信を積立投資する、というもの。
古今東西の投資本や現在発信している節約投資系ブロガー、YouTuberとほとんど内容は同じですね。
その元祖であり体現者が今作の著者のひとりである水瀬ケンイチ氏だからね。説得力は他の人間とわけが違う。
現在NISAによる積み立てインデックス投資を推奨しているインフルエンサーはことごとく水瀬氏のフォロワーといっても過言ではありません。
インデックス投資歴約20年。
「零細投資家」と自認する水瀬氏の投資遍歴はどういったものなのでしょうか。
元祖インデックス投資家が20年積立投資し続けた「経過」
水瀬氏はインデックス投資を始めて20年以上、本や自身のブログで触れている通り「ほったらかし投資」で資産1億円を達成しました。
とはいえ最初から順風満帆であったわけではありません。
最初は「投資といえば個別株」という風にテクニカル(チャート分析)やファンダメンタル(財務分析)のようなアクティブ投資の手法を勉強して取引していたそうです。
結果的にその投資法では良い成果を出せず、それによって氏が得た結論は2つ。
- 個別株投資はサラリーマンのような兼業投資家にとって生活に支障をきたす。
- どんなにいい銘柄を選択しても、市場が下落すれば一斉に下落することがある。
え。これってつまり株を一生懸命勉強して、どんなにまともな株を選んで購入したとしても徒労だってことですか?
人にも環境にもよるだろうけど、少なくとも水瀬氏は四六時中投資のことが気になるピリピリした生活や、勉強や努力が結果に繋がらないことに対して空しさを感じたようだよ。
多くの投資本で触れられていることですが、アクティブ投資はインデックス投資にほとんどの場合勝てないと言われています。
それに気づいた氏がインデックス投資に切り替えた結果、休日や余暇のほとんどに当てていた投資の取引や勉強の時間が無くなり、本業の仕事に集中できるようになりました。
積み立ての設定をしただけでほとんど投資に関してやることがなくなったことで時間ができ、趣味や仕事など自分の人生を充実させることにシフトできるようになったのです。
このことは現在NISAによる投資を行っている「全てのサラリーマン投資家」が参考にすべき重要な一事であるといえるのではないでしょうか。
インデックス投資に終わりはなく、資産1億円はあくまで経過に過ぎない
また氏は、資産1億円を突破したものの別段変わりなく会社員生活を送っています。
本人も触れていますが、1億円はあくまで暫定であり今後も増えたり減ったりしていっていつか老後に取り崩す時まで投資を続けていくつもりのようです。
この姿勢はアメリカのロナルド・ジェームス・リード氏のエピソードを彷彿とさせるねえ。
ロナルド・ジェームス・リードは、アメリカの投資家、慈善家、清掃作業員、ガソリンスタンド店員。生涯をかけた積立インデックス投資によって人知れず800万ドル(当時のレートで約8億円)の資産を築き、死後遺産の多くを公共施設に寄付することを発表して国際的な話題となった。
築いた資産とは関係のないところで人生を謳歌して充実させていく。
かといって資産1億円が無駄に増えているわけではありません。
氏は自分の信念のもとに積み上げていった資産によって経済的自由を感じるまでになり、会社員をしつつもいざとなれば何があっても大丈夫だという安心感を得ていると綴っています。
インデックス投資のいいところはここで、資産成長のバックアップは頼もしく感じつつ、自分は自分で日々の生活を楽しむことができるところだと思います。
もちろん有名ブロガーであり、和製インデックス投資家の第一人者として文筆活動を行っている水瀬氏はトップランナーではありますが、他の多くの名著を執筆した作家よりもよっぽどサラリーマンにとって身近で希望の星でもあり、暫定でありながらも結果を残しているところからどんな理論よりも雄弁な説得力があるのです。
「この道のプロ」である経済評論家の‟裏付け”
そしてもうひとり、この書になくてはならないのが山崎元氏の存在。
彼もまた資産運用の専門家として長く世間と関わってきた長期積み立て投資の提唱者です。
経済評論家にありがちなポジショントークや逆張り理論など一切ない堅実でクレバーな思想の持ち主で、誠実な人柄は多くのインデックス投資家からの支持を集めていました。
そんな氏が共著として「ほったらかし投資術」に関わっているからこそぐっと信用度が増して本書の強力な裏付けとなっています。
残念ながら2024年1月に永眠されてしまいましたが、ともすれば地味で面白味のないといわれがちな投資法をブレることなく発信し続けた彼は真の経済のプロだと思います。
まとめ:多忙なサラリーマン投資家ならば絶対読むべき不朽の投資本
確かにこの本なら自分とあっている気がします!投資の一歩を始める勇気が湧いてきました!
そうだろう?何しろ薄くて小さい。
他の投資本と比較しても薄く、小さく、シンプルなタイトルに簡素な表紙の装飾。
それがかえってこの本の本質を表しているようで、好感が持てます。
それにこれならいつでもどこでも持っていくのに好都合です。ビジネスバッグに忍ばせても他の荷物の邪魔にならないことでしょう。
投資の実情に合わせて常にアップデートしてきた最新の
「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」
現代の忙しいサラリーマンに一番合った投資本をぜひ手に取ってみてください。