人口、流入率日本一の大都市、東京。
イメージではビル群や住宅がひしめくコンクリートの街だと思う人が多いかもしれません。
が、想像に反して東京は北海道、兵庫県に次いで都道府県別緑地面積第3位という緑の多い都市なのをご存知でしょうか。
東京には先に記事にした上野恩賜公園のような巨大な都市公園が各地にあり、
国定自然公園なども含め実に1210haもの都市緑地面積を保有しています。
みどり率(緑が地表を覆う部分に公園区域、水面を加えた面積)は平成30年の調査結果によると、
都全域:52.5%となり、その内訳は
区部:24.2%
多摩部:67.8%
となっています。
その多摩部に位置する最も有名な、世界一登山客が訪れるという山が
「高尾山」です。
久しびりに高尾山に登ってみよう!
この山を訪れるは、登山者から、観光客、参拝者まで。
この駅近低山の魅力をたっぷり紹介しつつ、観光を楽しもうと思います。
東京最東端のアウトドア観光地、高尾山を訪れる
JR新宿駅から京王電鉄高尾線に乗り換えて、直通特急であれば約50分。
北野や高尾乗り換えでも約1時間で高尾山口駅に到着します。
久しぶり、高尾さん♫
古い友人に出会ったみたいに言わないでください。
高尾山の魅力といえば、
- 都心からの交通費が安い(他の山と比べて)
- 登山道が駅から近い
- 様々な施設やアクティビティが豊富
- ライトな観光客でも山頂まで気軽に行ける
- 奥高尾まで含めると登山ガチ勢まで堪能することができる
などなど。
豊かな自然とともに、飲食店やお土産物屋を中心とした観光街や観光施設がそこかしこに点在しています。
高尾山口駅は2015年に駅舎の改装工事が完了し、綺麗な新駅舎となってますます観光客が訪れやすい場所となっています。とっても清潔感溢れる駅舎。
こちらは京王グループと極楽湯チェーン共営の「京王高尾山温泉極楽湯」入り口。
駅から直接温泉施設に行くことができます。
何度か入浴したことがありますが、とてもいい温泉施設です。
食事や仮眠スペース、マッサージ施設など設備が充実しており、食事メニューもとても豊富。
高尾定食だったかな?刺身、てんぷら、小蕎麦がついた定食がとても美味しかった記憶がある。
豪華な定食から定番の軽食まで豊富なメニューが充実してます!観光や登山帰りに是非お立ち寄りを!
駅周辺には他に入浴施設はないので温泉はここ一択。
入り口や施設内に大型コインロッカーもあり、登山客が荷物を預けやすい配慮もされています。
汗を流しておなかを満たすには最高の施設ですね。
標高599mのお気軽登山。いざ高尾山の登山口へ!
駅から右手の細い路地を数分進むと、
見えてきました。高尾山ケーブルカー駅「清滝駅」。
そしてこの前の広場が高尾山の頂上ルートの分岐点でもあります。
清滝駅から出ているケーブルカーか隣の山麓駅のリフトを使って高尾山薬王院手前の一号路の中腹にまで出る行き方。
これが観光目的で行くには最も楽な方法。
それとは別に1~6号路という名で徒歩ルートがあり、他に稲荷山コースという登山道があります。
1号路が業務用の車も通れる舗装された参拝路で、薬王院に徒歩で行くという方が利用する参道です。(一般車は乗り入れ禁止)
「高尾山にハイヒールで登る姿を見た」とか「スーツ姿で登山していた」とネタにされているルートは恐らくこちら。
正月は渋滞になるほどの参道らしいっス。一度体験してみたいっス。
確かに登山というより舗装された坂道ですが、足元はしっかり軽快な履物で行くことを推奨します。いくら登りやすくても息が上がるほどの勾配なので。
高尾山に登る6つの路+交通機関+稲荷山ルート。どれを選ぶ?
歩行ルートが7つあるとされていますが、実質的な基幹ルートは
薬王院参拝道である1号路
渓流に沿った自然豊かな6号路
本格的な山道を歩く稲荷山コース
の3つ。
あとの2~5号路はこれらの中途の(主に1号路から)分岐ルートとなっており最初からは選択することができません。
しかしそれぞれのルート特有の趣もあるので、何度も足を運んでルートの選択を楽しむのも一興かと思います。
自分は4号路のみやま橋という吊り橋が好き。写真映えスポットとして人気です。
今回自分が山頂に行くルートとして選択したのは、ケーブル駅の左手側すぐの道を少し行った先のこちら
「稲荷山コース」
の登山ルートになります。
そのために軽装ながら登山装備でやってきました。
オスプレーのハイクライト26ℓにモンベルのトレッキングポール。
もちろんメレルのカメレオン8も。以前紹介した記事はこちら!
稲荷山コース久しぶり!1年ぶりくらいかな?
そういえば登山も筑波山以来ですね。
筑波登山の模様はこちらの記事になっています。興味があれば是非!
なまった足腰をそろそろ本格的に鍛えないとやばいので、秋登山を満喫していこうと思います。
本格的な山登りを堪能したいなら稲荷山コース?それとも6号路コース?
高尾登山を楽しみたいというハイカー勢は
稲荷山コース or 6号路コース
最初はこの二択になります。あとで他のルートに分岐するのもあり。
6号路は稲荷山コースをスルーしてしばらく行くと横道に入る登山道が見えてくるので、6号路を選択する方はそこから左手に進んでください。
稲荷山コースは木と石と土のスタンダードな登山道。
6号路は渓流沿いの水と緑に囲まれた清涼感ある登山道です。
しかし、日が差しにくいことで足元はぬかるみやすく、また途中まで狭い道が続くので、稲荷山コースより多少危険度は高い道。しっかりとした装備で臨みましょう。
さて稲荷山コースはこの階段を上がってしばらく傾斜のある山道を登っていきます。
久々ですが、それなりに快調。
やっぱり山の道はいいです。高尾山近くの奥多摩山域の山々は標高のわりにきつい登りの山もあり、登山道も初心者にとって時に危険を伴うところがあります。
が、高尾山はそんな心配が少ないのが気楽に登れる人気の山たるゆえん。
稲荷山展望台。
以前は屋根付きの東屋でしたが、少し前に屋根は撤去されてベンチのみになりました。
ここで少し休憩&お菓子タイム。
福島で買ったお土産のご当地ベビースターが残っていたので持ってきました。
福島観光の詳細はこちらに記事にしてあります。
体力も回復して登山再開。ここからは階段が多くなります。
それにしても、久々に稲荷山コースを登った感想。
どんだけ整備されてんの。
以前はもっと山道って感じで、こんなにも板張り、階段、木道のオンパレードではなかったはずなんですが。
靴も汚れなくていいし、初心者にとっては楽なのでしょうが、山道を味わいたいハイカーにとってはちょっとだけ物足りない。
最後の難所、地獄の急階段もずいぶん小ぎれいになっちゃった。
まあ楽でいいんですが。古びた丸太階段を上るあのきつい感じがなくなってしまったのはちょっとだけ寂しいですな。
登山道の整備はどこの山も喫緊の問題であり、山道の負担を軽減するためにという名目がある以上、それを行うこと自体はとてもいいことだと思うんですが、
何十年か後には稲荷山コースもコンクリの道になってたりして。
全自動エスカレーターのスロープになってるかもしれないっス。
1号路もはるか昔は未舗装の砂利道だったそうなので、まんざらネタともいえないのが高尾山のすごいところ。
高尾山の経済力、侮りがたし。
高尾山山頂でちょっと早いランチを満喫
高尾山山頂に到着!
本日は富士山が良く見えます。真っ黒富士ですが。
それなりにゆっくり登って75分。コースタイムは90分となっているのでまあまあのスピード。
頂上とその付近には曙亭や大見晴亭、やまびこ茶屋など、蕎麦を始めとした軽食やアイス、デザートなどを食べられるお店が充実しています。お土産も多数販売。
しかし今日は持参した飯で山頂飯を済ませます。
空いているベンチで朝飯とも昼飯ともつかぬカップ麺とアンパンを喫食。
鋸山ステッカーの山専用マグボトルはモンベルのアルパインサーモボトル500ml。
これに熱湯を入れてくれば火器を持たずしてカップラーメンのお湯が確保できますので超便利。特に外気の冷たい冬に温かい山飯を時短で食せるのでおススメです。
山専ボトルの必要性を世界に訴えかける普及促進記事はこちら!
さて、高尾山はここで終わりではありません。
奥高尾があり、小仏城山(高尾山頂より1時間)景信山(同2時間)陣馬山(同5時間半)と連続する山々を軽めの縦走(山と山をはしご登山すること)することができます。
いつもはこの後最低でも奥高尾にある小仏城山を目指すのですが、
今回はこのまま1号路を下って高尾山中腹にある
「高尾山薬王院」
とその周辺の施設を観光したいと思います。
今まではほとんど登山しかしなかったから、楽しみ!
薬王院からケーブルカー駅までの施設やお土産物屋、観光スポットも充実していて見ごたえがあります。
山道を下るよりよっぽど楽しめるはず。ゆっくり高尾山の中腹を観光することにします。
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奈良時代より続く高尾山薬王院有喜寺の歴史
薬王院は高僧行基菩薩によって西暦744年に開山されました。
ちょうどこのころは関西では遷都祭りがおこなわれていて、聖武天皇が何度も遷都を繰り返す時代でしたが、744年は難波宮(大阪市)に移された年でもあります。
その聖武天皇の勅命により東国鎮護の祈願寺として建てられたのが本院。
このころの関東はそれほど人口も多くなく、山深い地だった奥多摩、高尾が修験道の霊場として繫栄するようになったのは飯縄大権現が祀られた1375年ごろから。
今では高尾山の象徴である高尾天狗は飯縄大権現の守護役であり、飯縄大権現自身も鳥天狗の姿をしています。
境内には天狗の像がそこかしこに見られるので凛々しい姿を探すのも楽しみの一つです。
道を下っていくと9月末に倒木事故があったらしく、道幅制限されていました。
いかに整備された山でもこういったイレギュラーなトラブルはあり得ますので注意。
こちらが薬王院の奥の院である不動堂不動明王。
山頂からだと裏からの参拝になってしまいますが仕方ありません。
権現堂。中興本尊「飯縄権現」がご本尊として安置されています。
こちらが大本堂。開山本尊である薬師如来、中興本尊の飯縄権現の両方を本尊として祀ってあります。
仁王門を下ると、お守授与所やお護摩受付所などがある場所まで出ます。お土産の薬王院限定品のお菓子などもここで販売しています。
お土産のかなうわ守と、
かりんとうを購入。
そして買ってから願叶輪潜を潜って大錫杖を打ち鳴らす私。
皆さんは順番を守って先に潜ってからお守りを購入してください!
上からお参りしてきたもんだから何もかもがやることなすこと逆になってしまいましたな。
ケーブルカーより高尾山の麓まで一気に降る
山門を出てさらに降っていきます。
途中に浄心門などの薬王院関連の建築物があるのはもちろんのこと、
有名なたこ杉や、
高尾山さる園・野草園などがあり、寄り道をしたくなる場所が豊富。
そしてケーブルカー「高尾山駅」の付近には飲食やお土産物が購入できるお店が点在しています。
少々割高ながら自販機も沢山あり、飲食物に困りません。
テイクアウトや食料持参の際注意ですが、高尾山は駅周辺から構内に至るまで基本的にゴミ箱というものがありません。ビニール袋などを必ず持参してマナーを守って持ち帰るようにしましょう。
当然自販機で出た空き缶、ペットボトルも同様。
ケーブル高尾山駅の真横にある高尾山スミカというお店はテイクアウトの軽食から、店内の食事もでき、お土産物も販売しているので便利です。
メニューも豊富なので、混んでいなければここでランチもいいと思います。
今回は寄り道せず、高尾山駅からケーブルカーで下山。
滋賀県の比叡山で走行距離日本一の坂本ケーブルに乗車しましたが、
なんの高尾山のケーブルカーも負けていません。
比叡山のケーブルカーが距離日本一なら、高尾山のケーブルカーは
「傾斜角日本一」
のケーブルカーなのです。
高尾山は599メートルしかありませんが、標高差はなかなかあって片道6分ほどのケーブル旅になります。
おおお、なかなかのG!
Gというか浮力っス!体が持ち上がる感覚っス!
久々に高尾ケーブルの風景を満喫しました。
八王子名誉観光大使「北島サブちゃん」。
初めて知った。観光大使だったのか。それにしても派手ですなあ。
アソビュー:レジャー・遊び体験予約サイト
アウトドアのみならず、物作りなど様々なレジャーを体験予約できる日本最大級のサイト!
高尾や八王子の楽しいレジャーもあるので興味のある方は要チェック!
もちろん日本全国のイベント体験も予約できるのでおススメ!
高尾山麓の観光街にて本格的なランチを食す
広場から駅から来た小路に行かず、
右手のほうのお土産物屋や飲食店が連なる観光街に向かいます。
朝と昼の中間飯を山頂で食べましたが、時間がたって小腹がすいてきました。
飲食店街の奥側のこちら、橋詰亭というそば処に入ります。
とろろ山菜蕎麦。
とろろがもっちもちで蕎麦によくからむぅ!めっちゃおいしい!感動!
つゆもいい味してますね。当たり蕎麦です。
ずいぶん前にも高尾のとろろそばにあこがれて食べに来ましたが、その時は撃沈した経験が。(どことは言えない)
しかしこのお店は本当においしい蕎麦屋でした。
高尾山には山麓、中腹、山頂とそれぞれそば処が何件かあって手ぶらで来てもおいしい食事を楽しむことができます。
が、休日やハイシーズンには尋常でない観光客が押し寄せて、お店のキャパシティをオーバーしてランチ難民が続出するのが高尾という超メジャー観光地。
もしお店に並ぶのを嫌うのであればテイクアウトの食べ歩きを覚悟するか、おにぎりやお弁当などの持参を考慮することをお勧めします。
高尾周辺のその他の施設を紹介
高尾山の周辺には昔からの観光施設や、新設された施設なども多く存在します。
こちらはTAKAO 599 MUSEUM。
以前は東京都高尾自然科学博物館があった場所に2015年開設された高尾の情報発信ミュージアム。
動植物の展示コーナーや市民ギャラリー、お土産物屋やカフェも併設されていて、観光・学習・交流をコンセプトとしたお洒落な空間を提供してくれています。
高尾の魅力に触れたい人や、観光や登山で一息入れたい人は一回訪れてみてください。
TAKAO 599 MUSEUMの公式サイトはこちらhttps://www.takao599museum.jp/
宿泊して高尾を堪能するなら「タカオネ」という高尾山口駅からすぐ目の前にあるホテルを利用するのも手です。
活動ホテルというコンセプトですべての宿泊プランにアメニティとして薪がもらえ、焚火が楽しめるというとても斬新なホテル。
部屋の内装も通常のホテルのような通り一遍の造りでなく、ゆったりした自然あふれるデザインなので宿泊すること自体が観光気分を味わえること間違いなし。
朝食は全てのプランにつきますが、夕食は予約制ですので注意。
高尾の街は飲食店が早い時間帯で閉まってしまうので、遅くなると外食できなくなる恐れがあります。当てがなければ夕食は必ず予約しましょう。
タカオネの公式サイトはこちらhttps://takaone.jp/hotel/
予約、お問い合わせも公式サイトからできるようになっています。
そして最後にこちら。
高尾山トリックアート美術館。
・・・・・
毎回高尾山に来るたびに目に映る異色の美術館。
美術館は好きなのですがどうも食指が動かない独特のオーラがありますw
多分入ったらそれはそれで楽しめるんだろうな、と思いながら恐らく一生入らないであろうミステリアスな高尾名物です。
一応写真に収めておきます。縁があったらまた会おう。
高尾は奥が深いぜ。一生謎のままでいてくれ、トリックアート美術館。
いや、一度は体験しときましょうよ。きっと楽しいですよ。
普通の美術館と違いおそらく大人数で楽しむ美術館だと思うのでアトラクションが好きな方は是非。
高尾山トリックアート美術館公式サイトはこちらhttp://www.trickart.jp/
最後は氷川神社にお参りして終了。
久しぶりにきましたが、やっぱり高尾山は安心できる訪れやすい山です。
駅からは近く、飲食もトイレにも不便せず、ガッツリ登ろうとすればいくらでも登山を楽しめる山。
お爺ちゃんになってもまた来たい山です。温泉はまたのお楽しみ。
次は紅葉が色づく頃にこよう。
気軽な秋旅に最適な場所です。もちろん春夏秋冬一年中楽しめます。
中央線の高尾駅からは奥高尾の最深部である陣馬山行きのバスも出ています。
健脚な人はぜひ陣馬山から高尾山までの6時間ほどのトレイルを紅葉の中楽しんでみてはいかがでしょうか。