二日連続北陸晴れ。
前回巡った金沢名物「兼六園」中心の観光の模様はこちらです。
金沢市中の旅2日目の今日は、兼六園、金沢城公園のような庭園とはまた違った風情ある歴史探訪として、
金沢三大茶屋街
を訪れてみたいと思います。
小京都と言われた金沢の繁華街としてあまりにも有名です。
観光地化している場所も多いですが、今でも一見さんお断りの昔ながらの茶屋を営業しているところも数多くありますね。
- ひがし茶屋街
- 主計町茶屋街
- にし茶屋街
と金沢城跡を取り巻くように点在する当時の雰囲気を色濃く残した街並み。
茶屋の歴史を感じながら、茶屋グルメやスイーツ、お土産も体験して参りたいと思います。
ひがしに進路を取れ!茶屋街筆頭「ひがし茶屋街」
昨日と同じく右回りの周遊バスに乗って橋場町(RL4)へ。
金沢周遊バスバス路線図pdfを参考にどうぞ。
下車したところからすぐ近くにひがし茶屋街、浅野川を挟んだ川沿いに主計町茶屋街があります。
まずは三つの中では最大の茶屋街「ひがし茶屋街」を観光することにしましょう。
茶屋の街並みに入っていないところでももうなんとなく風情ある街並みになってます。
駅前の近代的な建築物と全然違いますね。さすが金沢。
知っておきたい茶屋街ってどんなところ?
「茶屋」と聞くと、
- お茶や茶菓子を出すような和喫茶
- 登山での休憩場所、飲食販売所
のような印象を受けますが、いわゆる繁華街の昔の『茶屋』は全く違うものです。
芸妓が舞や芸を披露して客をもてなすお茶屋遊びをする場所であり、京都の祇園と同様、一見さんお断りの独特の風習を持つお店を茶屋と呼びました。
現在はひがし茶屋街の大半は建物の内部がリノベーションされ、飲食店やお土産物屋に代わっていますが、今なお5軒の茶屋が昔と同じように芸妓さんと社交できる茶屋として営業しています。
まあ、つてがなければ入ろうにも入れないんですが。
生きている間に一度はお芸妓さん相手に茶屋遊びができる身分になって見たいっスね。
ところがどっこい。
限定予約ながら本来一見さんお断りの茶屋体験を、金沢観光協会主導で一部体験できるイベントを催しています。
金沢観光公式サイト「金沢旅物語」では2024年4月20日から2025年3月29日まで、毎週土日に3大茶屋街の協力を得て、実際のお座敷遊びの一部が体験できるプランの予約を取り行っています。
一般5,000円、大学生以下2,500円。(未就学の5歳児以下は体験不可)
昔気質のお茶屋文化に是非触れてみたい、という方は予約して芸妓さんの見事な舞と芸を堪能してみてください。
プランの詳細確認と予約は下記のページで行えます。金沢グルメや歴史探訪だけでない特別な旅の思い出を是非。
江戸時代の雰囲気を色濃く残したひがし茶屋街の街造り
表通りも裏通りも素晴らしく雰囲気のいい古き歓楽街。
そして現在は金沢屈指の観光名所でもあります。
建物内の改装も進んでいて飲食店やお土産物屋、茶屋文化を見学できる博物館などが沢山入っています。街は見きれないくらい広く、歩いていても飽きません。
こちらは金澤しつらえ茶房「やなぎ庵」。豪華絢爛な金箔スイーツを頂くことができる甘味処です。
こちらで少し休憩を取りました。金箔アイスコーヒーと金箔最中がぜいたくかつ品のあるスイーツでとってもおいしゅうございました。
こちらは国指定重要文化財の「志摩」という茶屋。
文芸3年(1820年)からそのままの形で現存している昔ながらの茶屋です。
茶屋文化の建物内部を有料で公開しており、500円で見学できます。別料金で別棟の茶庭を見ながらお抹茶を喫することができるそうです。
人の少ない時期時間で良かった。雰囲気最高だな。
茶屋体験をするのは予約必須ですが、ぶらりとお土産やスイーツ、博物館を堪能するには充分すぎる規模の茶屋街です。庭園や大規模博物館巡りとはまた違った風情がありますね。
ひがし茶屋街一帯の守り神でもある宇多須神社。境内には至るところに忍者の人形が置かれていて観光で来た参拝客を楽しませてくれます。
このように街の各所に大小の神社仏閣があり、金沢随一の歓楽街の当時の繁栄をうかがうことができます。
観光名所となった今は日中人もにぎやかで開店しているお店も多いですが、大体18:00ごろには大半のお店が閉店してしまうので、陽が高いうちの観光を心掛けるようにしましょう。
浅野川を挟んで、もうひとつの茶屋街「主計町(かずえまち)茶屋街」へ
ひがし茶屋街から浅野川の橋を渡ってすぐのところに、これもまた有名な主計町(かずえまち)茶屋街を訪れてみます。
川沿いのメインストリートからあえて外れて茶屋街の裏路地から。雰囲気がすごい。
裏通りを抜けて、浅野川に面した表通りへ。
ひがし茶屋街と同様昔の面影を残した建物が並んでいます。
・・・でもひがし茶屋街と違ってなんかお店があまりやっている雰囲気がないね?
それものそのはずで、主計町茶屋街のお店の主力は夜から営業するバーや日本料理店などの飲食店です。昼間は写真目的以外の観光客はほとんど来ませんな。
その他は3つ星評価の旅館が3軒ほど。
ひがし茶屋街がお昼の観光街だとすると、こちらは夜に栄える茶屋街。
ひがし茶屋街同様、芸妓さんが働くお茶屋として営業しているお店も数軒あるそうです。
五木寛之文学碑もある文壇とも縁が深い主計町茶屋街。
こじんまりとした茶屋街ですが、
‟観光地の側面が強いひがし茶屋街よりも色濃く茶屋街の系譜を残している”
と評する人もいるほど当時の面影をそのまま残しています。
夜に是非訪れて見たい町。
近くには金沢城西内惣構、主計町緑水苑があり、川の街並みを楽しみながら少しくつろげる名所もあったりして陽が高い時に来ても充分写真映えのする茶屋街です。
評判の良いお店が多いですが、その分だけ飛び込み入店は敷居が高そう。予約していった方が無難です。
ひょっとしたら3大茶屋街の中で一番昔気質の茶屋街かもしれないっス。夜空を見ながら茶屋街のお店をふらっと訪れるなんてのも粋な金沢観光の仕方かもしれないっスね。
番外:茶屋街近辺には文学や文化にまつわる博物館がずらり
3大茶屋街近辺は文化の集積場のように様々な観光施設が並んでいます。そっち方面に興味がある人は一層楽しめる場所です。
文芸関係
- 泉鏡花記念館
- 徳田秋聲記念館
- 室生犀星記念館
- 金沢文芸館など
文化関係
- 金沢蓄音記念館
- 金沢能楽美術館
- 金沢金箔工芸館
- 金沢くらしの博物館など
それそれ別料金で入館することも可能ですが、金沢市文化施設共通観覧券「1DAYパスポート」を購入して巡るとよりお得に観光することができます。
料金は520円。上記施設を含む17施設で利用可能。一日どの施設でもフリーパスです。
ほか5施設で団体割引相当の値引きが効きます。文化施設巡りが目的な方は是非ご利用を。
(1DAYパスポートの他に3DAYパスポート(830円)、年間パスポート(2,090円)あり。)
詳細は金沢文化振興財団HPで。
アソビューにてWebチケットも販売しています。下記購入ページより購入可能です。
最後の茶屋街、西に向かって反対側の「にし茶屋街」へ
バスに乗り込み、今度はここから兼六園を挟んでぐるりと反対側の広小路(寺町寺院群・にし茶屋街前)まで。
こちらもひがし茶屋街と同じく、大通りから少し入った広小路に茶屋街を形成しています。
ひがし茶屋街ほどには大きくはなく、主計町茶屋街ほど茶屋街独特の強烈なオーラは感じませんが、今風の街並みに溶け込むように出格子の建物が並んでいい雰囲気の通り。
お土産物屋やお食事処もそこそこあります。ここもひがし茶屋街同様陽の高いうちに楽しめる観光街だと思います。
ここには忍者武器ミュージアムがあります。手裏剣体験もできる面白観光名所。
なぜ茶屋街に忍者関係が入っているかというと、にし茶屋街の近くに妙立寺という忍者寺があるのが関係しています。
忍者寺と称される金沢西の要衝「妙立寺」
妙立寺の成り立ちは、大藩であり外様の加賀藩と江戸幕府が緊張状態であったときに、金沢西側の守りの一つとしてここ一帯に寺院群を置いたところから始まっています。
万一のための出城としての機能持つために建物が複雑な構造で作られ、まるで忍者屋敷のようであることから「忍者寺」と称されるようになりました。
にし茶屋街通りからは少し外れますが、非常に興味深いお寺です。茶屋巡りと合わせていくと面白い観光名所です。
見学は予約推奨です。一応空いていれば予約なしでも見学できますが、人気のお寺なので確実に。あくまで寺院であり、アトラクションやエンタメの施設ではないので節度を持って見学しましょう。
旧鶴来海道沿いの寺町寺院群には他にも、
- 願念寺
- 弘願院
- 三光寺
- 本長寺
- 承証寺
など小ぶりながらも趣のある寺院が無数に密集しているので、にし茶屋街を訪れて余裕があるなら見て回りたい場所の一つです。
昼は観光の顔、夕暮れ以降は茶屋街としての艶やかな顔を見せるにし茶屋街
にし茶屋街には忍者武器ミュージアムのようなユニークなお店もありますが、正統派な食事処やお土産物屋が多く、楽しい街歩きができます。
こちらのそば処「にしの縁」で越前そばを頂きました。他のお店も美味しそうな和食をたくさん提供していてどこに入るか迷います。
看板メニューの「油揚げおろしそば」。
正確には金沢グルメではなく、お隣の福井県の名物になりますがとても美味しかったです。
他にも、
- 金沢西茶屋街資料館・・・無料でお茶屋の見学ができる。作家、島田清次郎が常連だったお茶屋「吉米楼」の跡地。
- 人形ミュージアム・・・伝統的な加茂人形や市松人形など日本人形を主に展示している人形のルーツを楽しめる派博物館。
のような茶屋を内装した博物館施設もあり、茶屋文化や日本文化を学ぶのにも最適。
何より本格茶屋や居酒屋、懐石料理や和食レストランもあり、夕方から艶やかな別の顔を燃せるのも茶屋街の魅力。
お酒を楽しみつつ、芸妓さんの街を行き交う姿や三味線の音など、夕暮れ時のにし茶屋街を訪れ堪能してみるのも茶屋歩きの楽しみです。
印象としては規模間はひがし>にし=主計町、観光目的ならひがし>にし>主計町、古風な茶屋街としての雰囲気ならば主計町>ひがし>にしといった感じでしょうか。
強いてどこか一つだけ行く、となればひがし茶屋街一択だと思います。スケジュールに合わせて回れるところを選んでみてください。
もうひとつの街歩き:長町武家屋敷跡を歩く
にし茶屋街から徒歩でも行ける片町、香林坊。大通りに面していてかなり都会の装いをしています。
しかしそこからすぐ脇道に入ると、城下町であった名残を見せるのが面白いところ。
立派な用水路は城の惣堀であったなごりであり、この栄えた繁華街はかつて武家屋敷が多く構えている場所でもありました。
そこに現在でも残っているのが、
「長町(ながまち)武家屋敷跡」。
通り全体が昔ながらの武家屋敷の壁造り、門構えとなっていて厳かな雰囲気となっています。
上記の写真は「長町研修塾」。敷地内の茶庭「山景園」は自由に見学可能です。
こちらも見学可能な武家屋敷の遺構かと思ったら、ただの公衆トイレでした。
さすが旧武家屋敷。公衆トイレまで厳格な雰囲気があるぜ。
正確には長町街園という区画で、当時の武士の庭を再現した場所っス。井戸の遺構や木々や花壇などとっても雰囲気のいい区画っスよ。
トイレの周囲や裏手はこんな感じ。すぐ近くにトイレがあるとは思えない素晴らしい庭造り。絵になるトイレなんて初めて見ました。
旧武家屋敷街の多くは一般の方が住んでいる住宅ですが、観光用の飲食店などがいくつか並んでいます。
どのお店もお洒落で武家屋敷に溶け込んだ雰囲気のいいお店なので、ここでランチや休憩を取りつつ武家屋敷の街巡りをじっくり楽しめるようになっています。
武家屋敷跡:野村家を見学
長町武家屋敷跡の一番の目玉である野村家を見学に訪れてみます。
加賀前田家創業の時代から加賀藩に仕えた、戦国武者の野村伝兵衛貞家が家祖となっている野村家。
禄高は千二百石、御馬廻組組頭、各奉行職を歴任した由緒ある武家屋敷の復元建築物です。
千二百石はかなりのお上士なんだな。
加賀藩は家老級に万石以上が何人かいましたから最高位ではないものの、創業以来の功臣であることに変わりなく、重職を歴任しています。
戦働きをした際の愛用の鎧から、小ぶりながら見事な内庭。石段を上がった2階には「不莫庵」という茶室まで備えてあった立派な邸宅。
藩主を招いた際に使用された上段の間。精巧な造りをした贅沢な間です。柵で囲ってあるので中に入ることはできないので注意。
鬼川文庫という野村家の展示博物館もありました。
部屋は広くないものの刀剣や掛け軸など、歴史的価値の高いものが多数展示してあり、歴史好きにはたまらない空間となっています。
加賀藩士の生活風景を知るうえで定番の観光名物「武家屋敷跡野村家」は片町、香林坊を訪れたなら足を運ぶ価値のある博物館なので、是非金沢へお越しの際は訪れてみてください。
まとめ:金沢は「街歩き」こそが面白い!
バスでの市中観光や、庭園歩き、観光施設やグルメ巡りももちろん楽しい金沢の旅。
それ以上に三大茶屋街を始めとする長町武家屋敷跡や寺院群、繁華街の片町・香林坊の街歩きが個人的にとても新鮮な体験と感じました。
街歩きが楽しいのはそれだけ名所が多いからともいえます。
と同時に観光客が親しみやすいおもてなしがそこにあるから。金沢を盛り上げる地元の方たちの努力の賜物です。
歴史のある街歩きといえば定番の京都ですが、金沢もなかなか。
百万石のおひざ元であり、北陸屈指の大都市ですから歴史指数も都会指数も高水準で市内観光だけでも満足感が高いです。
食べ物が美味しいお店も多くて、休憩や食事に困りませんな。
次は是非お茶屋体験も予約して楽しんでみたいっス!
地震による影響で観光客の出足は少し鈍っていると聞いていましたが、なかなかどうして。観光都市金沢は伊達じゃない。
春夏秋冬いつでも楽しめる石川県金沢市。
季節が変わったらまた行きたいとお世辞抜きに思えるそんな観光地でした。駅前の鼓門を肉眼で見るだけでも行く価値がありますよ。