ひとり(一人)旅。
と聞くと印象としてどういうふうに捉える人が多いでしょうか。
いやー一人で旅するなんて退屈で死んじゃいます。何していいかわかんないし。
こう言った感想を抱く人はかなりの割合で多いと思います。
宿から交通網から観光地から全部自分一人で調べなきゃならないし、正直かなり面倒くさくないですか?
自分で全て取り仕切るのが億劫に感じる人も。
一人旅って・・・・・友達いないんスか?
火の玉ストレートをぶっ込んでくる人も一定数いるかと思います。グフ。
若いね、君たち。
確かに共感する仲間がいる旅行は最良の思い出になることが多く、人生の一ページに大きな足跡をつけてくれる大事なレクリエーションになり得ます。
が、ですが。
一人旅の社会勉強、人生経験としての価値は、連れ合いを伴っての旅とはまた違ったものがあるのではないのでしょうか。
事前に宿泊予約や新幹線、あるいは飛行機のチケットを取得し、観光地のリサーチを入念に行いスケジュールを計画し、まだ見ぬ地へと心躍らせながら足を運ぶ。
秋川滝美著「ひとり旅日和」。
この小説の主人公のように、勇気を持って踏み出せば一人旅を通じてほんの少し何かが変わるかもしれません。
「おひとり様」だからできる旅の醍醐味
物語のスポットに当たった主人公、梶倉日和(24)のスペックはこんな感じ。
性別:女性 職業:中小会社社員
- 小宮山商店株式会社という中小企業勤務
- 人づての紹介で滑り込み就職3年目経理担当
- 実家住まいの箱入り娘
- 人見知りが激しい。自称「人見知り女王」
- 業務の電話対応もままならないほどのコミュ障
- 直属の上司からネチネチいびられる毎日
- 親しい友人、同僚がいない「ボッチ気質」
- これといった趣味特技がない
これ主人公ですか?完全なモブキャラじゃないですか!
自己紹介かな?
そんな彼女がふとしたことから勤め先の社長に勧められ、職場の先輩のアドバイスもあり一人旅を計画することになるのが物語の始まり。
最初は手軽に行ける近場の熱海や佐原、
慣れてきたところで仙台や金沢、博多まで足を伸ばす。
飛行機は苦手で九州は行ったことないんだよな。羨ましい。
ところでこの小説は面白いんですか?
旅に行きたくなる。
そう、自分も一人旅を計画したくなる。そんな物語です。
物語自体は観光スポットや地元のグルメを堪能する描写が多く、旅を通じての主人公の微かな成長や、異性との良い出会いの予感を描いているものの、これといったドラマティックな展開が待っているわけではありません。
取り柄もなく内気な主人公が、一人旅をしている時ほんの少しだけ輝いている。
普通すぎるキャラクターゆえに、彼女の旅先での道中の一喜一憂がわかりすぎるほどわかり、大きく共感してしまうのです。
平凡な自分ももしかしたら一人旅を楽しめるかもしれないと思うほどに。
ひとり旅をするには適性がある
本小説の主人公である彼女には実は一人旅むきの性格や習慣がある。
おとなしい主人公が一人旅に向いてるんスか?
- ひとり行動を苦にしない(というか日常)
- 人に惑わされず、常に自分で選択できる。
- 食べ物やお土産、パワースポットに「程々」に関心、興味がある。
一見消極的な彼女ですが、普段からひとりでいることが当たり前であるため、いざ行動を移すときにも初めてのことに悪戦苦闘しながらも淡々と旅行の準備計画をしていきます。
同僚で一人旅の先輩である加賀麗佳にアドバイスはもらうものの、一から十まで頼ることをせず、自分で行き先や目的を決め、地元グルメを食すために旅の恥はかき捨てとお店に飛び込みます。
よく人に相談しないと決められない人とか行動に移せない人がいるが、そういう人は他者依存が強いので思い切って一人旅で自分を鍛えてみるといいぞ。
3つ目の「程々」ってなんです?
旅行に関する事柄の悉くに関心がある彼女ですが、興味はあっても執着というほどの執念は見せません。
これは実は一人旅には重要なことで、切り替えの速さが一人旅を楽しむ秘訣の一つだったりします。
おひとり様行動はスケジュール管理が肝なので、不測の事態を引きずるよりも切り替えて別の行動に移したほうが結果的に旅行はうまくいくことが多いです。
行動の優先順位をつけるのが上手いのが、ボッチ気質の強みともいえます。
現在はひとり旅のハードルが低い時代
一人旅は敷居が高いとも思われがちですが、ネットやスマホが普及した現在、単独旅行はかつてないほど簡単な時代となりました。
じゃらん.netや楽天トラベルなんかの旅行予約サイトが氾濫してるし、えきねっとやエアトリのような交通機関の予約ができるサイトもある。
と言っても、一体何から手をつけたらいいのかわかりません。一人旅には何が重要なんでしょうか。
では小説を参考に、私自身も優先している一人旅の決め事を一例として紹介します。
一人旅をするにあたって決めていく順番は主に3つ。
①旅の行き先
これは当たり前ですが、どこに行きたいのかは旅行の最も重要なことです。
この旅行で何がしたいか
何が見たいか
何が食べたいか
を旅行先のリサーチをしつつ決定し、「必ず」すべきことを決めて場所を決めましょう。
目的を持たない気ままのぶらり旅は理想ですが、行き当たりばったりで楽しめるのは実際のところは達人の技。
特に一人旅の場合、行ってから迷走してしまうとぐだぐだのつまらない旅になってしまうので、その場所に行く意義をしっかり見定めて旅行先を決定するのが良いです。
行き先を決めるのは小説の中のように、書店で旅行雑誌を購入して検討するのもいいし、ネットで旅行サイトを参考にするのもいいです。
今は個人でもSNSやblogで旅行のことを発信している人も多いからそれを参考にするのもいいっスね!
②移動手段
新幹線、飛行機のような便利で高速な乗り物はもちろんのこと、青春18切符や週末パスを使ったのんびり旅も移動手段の一つです。
普通電車の乗り継ぎや自家用車にバイク、ときには自転車、徒歩で旅をする人もいるかもしれません。
同じ目的地でも移動手段で旅のスケジュールは大きく変わってきます。
移動そのものを楽しむのも旅の醍醐味。まして一人旅ならどんな奇天烈な移動手段を取っても、マナーやモラルに反しない限り誰に咎められることもありません。
のんびり旅は時間がかなり取れるときにはとてもおススメです。しかし社会人だと有休を使ってもあまり日程が取れないことが多いので、そういった場合はやっぱり新幹線や飛行機など高速で移動できる乗り物を使用したほうがベターかなあ。
移動費が高くなったとしても時間をお金で買うという行為は時には必要ですね。
参考としてこういったサイトで交通に関する予約が行えます。
JR東日本公式チケット予約サイトえきねっと
自宅にいながらチケットを届けてくれるナビタイムジャパン
国内飛行機手配とホテル予約を同時に行えるエアトリプラス
国内海外格安航空券予約サイトena(イーナ)
③宿泊先
旅館にリゾートホテルなどの充実した宿泊施設から、ゲストハウスに車中泊の節約旅行まで。
意外かもしれませんが、宿泊先は優先順位としては①場所と②移動手段を決定してから決めた方が良いと思います。
もちろんここに泊まりたいから!という理由ならば旅行の優先順位は逆転しますのでケースバイケースにはなりますが、
そういったこだわりのない場合、旅行の拠点は観光と移動のスケジュールを建てた後、総合して一番都合がいい場所を選ぶのが無理のない選択の仕方。
上手くスケジュールを調整できる便利な場所を探すのも雑誌などがたくさんありますが、現在は旅行総合サイトで探すのが主流だし簡単です。
大手宿泊予約サイトであるじゃらんネット
老舗の旅行サイトである日本旅行「赤い風船」
楽天ポイントでお得に旅行楽天トラベル
旅行の目的や移動手段によってだいぶ変わってきますが、個人的にはビジネスホテルが一人旅には一番気楽で使いやすいしリーズナブルですね!
ライダーや自家用車の人は公共交通機関で行きづらい辺境の旅館や、ゲストハウスや道の駅での車中泊など新鮮な宿泊手段が取れると思います。
まとめ:小説の主人公のようにまずは気になる近くからひとり旅を
一人旅の欠点としては
多人数のアクティビティや施設を利用しづらい、
他人と楽しさを共有できない、
手続きや情報収集のような行動量を必要とする分業ができないなど
旅行そのもののスケールが小さくなりやすいのがデメリットです。
しかし前述したとおり、今は一人一台スマホの時代。
しかもコロナを経ておひとり様旅行が推奨されてきた基盤もありますので、もはやひとり旅は受け入れ側からもそれほど不自然なことではないですし、現在はSNSで情報発信が当たり前の風潮です。
他人との共感や承認欲求はSNSを通じて満たせますし、それが目的で旅行する人もいるくらいです。
旅行サイトや交通予約サイトの発達で旅行の手続きも自宅で容易にできるようになってますしね。ゆで卵を茹でる間に終わります。
ネット検索や交通検索で旅行先の情報や移動も迷いません!GoogleMap最強。これだけで初めての場所もへっちゃらです!
同じ場所でも季節が変われば全く別の顔になることもあるのが旅行の面白いところ。
「ひとり旅日和」の主人公日和は、まず熱海の日帰り旅行から一人旅をスタートさせました。
まずは気になる近場を調べて、日帰りでお試し小旅行をしてみるのはどうでしょうか。