いや自分はどこを切り取っても凡人なんですけども。
どうも、左利きのノビです。
今回は以前より気になっていた
「1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 選ばれた才能を120%生かす方法」
を最近読んだので同じ左利きの目線からレビューしてみたいと思います。左利きバンザイ。
左利きが左利きを脳科学の観点で分析した著書
この本はマイノリティーである左利きが、いかに可能性を秘めているかということを脳科学に絡めて書かれています。著者は脳内科医で株式会社「脳の学校」代表である医学博士・加藤俊徳氏。
著者自身が左利きで過ごした幼少時代から、その後の様々な実体験を経て「自分は左利きだからこその特別な身体感覚や資格分析力が備わっていて、それによって世界最初の脳内科医になれた」と語っています。それだけでなく、
その特別な能力を持っているのは自分だけでなく、脳科学的に見て左利きは多数派とは異なる個性を持つ「すごい」人たちだとも。
実際、この本で挙げられている左利きの人を列挙してみましょう。
- アリストテレス(古代ギリシアの哲学者。諸学の父)
- アインシュタイン(相対性理論の提唱者)
- エジソン(近代の発明王)
- ダーウィン(進化論を提唱した地質学者、生物学者)
- モーツァルト(音楽家)
- レオナルド・ダ・ヴィンチ(ルネッサンス期の芸術家。博学者)
- ピカソ(近代画家)
- ビル・ゲイツ(実業家。マイクロソフト創業者)
- バラク・オバマ(元米国大統領)
左利き限定で聖杯戦争できそうだな。
錚々たる顔ぶれが並んでいます。この本に載っていない偉人ではアレクサンダー大王、ミケランジェロ、ニュートン、ナポレオン、チャップリンなども左利きだったようです。
左利きの割合は日本全体で見ると、10%ほどと言われています。
思ったより結構多い。
この右利き社会の中で革新的な役割を果たしたのが特別な個性を持った左利きの偉人たちだという説を著者は語っています。
左利きは「天才肌」とか「芸術家肌」とか「器用」とか結構そういったイメージを持たれていることは知っていましたが(自身も、人より手先が器用とか見られていた傾向がある)それはどうしてなのか、ということを著者は
左手を使用することによって、右利きとは違う脳の使い方をしているからだ、と言及しています。
左利きの3つのすごさ。「直感」「独創」「ワンクッション思考」
左利きは脳の使い方が違うとな。興味深い内容だ。
どれどれ、読み進めてみましょうか。
ほうほうほうほう(脳番地・・・?)
はいはいはいはい(時空間を超えて・・・「衆生に説法」?「直感医療」?)
・・・・・・・・
うん思ったより割とスピリチュアルな内容だった(汗
この書籍を読む直前アンデシュ・ハンセンの「運動脳」を読んでいたので、脳の構造の呼び方の違いにちょっと面食らってしまいました。普通に海馬とか、前頭葉とかじゃダメだったのかなと。
脳番地という言葉を知らなかったので、自分が無知なせいかとググってみたんですがどうもこの著者の関連でしか出てこない。著者独自の造語のようです。
具体的な数値データよりも左利きである著者の体験や感覚のほうに記述が偏りがちなので今一つピンと来ないところも多かったりしますが、それでもこの本には興味深い価値はあるように思います。それは、
- 著者自身が実際左利きを通して感じてきた感覚や体験をもとにしている
- 著者が脳科学者として世間に認知されている
- 左利きと脳科学との相関性を具体的に説明し、自説を提唱している
ということです。
ただの左利きの人よりも違った、自分の専攻分野において左利きを分析しています。
その分析の結果、左利きのすごさは主に3つに分類されるとしています。
①直感がすごい
左利きは倫理的な役割を持つ左脳を使う右利きよりも、視覚や聴覚など五感と密接に関わる右脳をよく使用するので、直感的な思考に優れた力を発揮するそうです。
よく左利きは感覚が鋭い、芸術的分野に力を発揮すると昔からよく聞くので、これは納得のいくところです。
「ひらめき」が得意という左利きの能力の正体は、脳にストックしてある知識や情報を高速でアウトプットする力だとも力説しています。
②独創性がすごい
9割の右利きと脳のネットワークが違うことから、自分では当たり前のことに思えても他人から見ると独創的に見えてしまうのが左利きの特徴だと著者は言っています。
同じ体験をしていても左利きと右利きでは脳体験が違う、というのが著者の主張です。
その繰り返しがマジョリティの右利きよりも独特の感覚と発想を生み出していくのだと考えているようです。
③ワンクッション思考がすごい
右利きの人とは違い、両脳をまんべんなく使用する左利きは左脳の言語や論理機能と、右脳の視覚や聴覚などの感覚分野両方をごく自然に鍛錬していると言えます。
そのことが豊かな発想力を生む一方、このメカニズムのために言語化がやや苦手といった傾向にあると指摘しています。
この欠点は結構なるほどと合点がいきました。まあもっとも自分はただ単に頭の回転がドンくさいだけですがw
あとはそれぞれの章に付帯する脳トレや習慣トレのような話です。様々なアプローチに触れていますがこのレビューでは割愛します。
結論:左利きに劣等感ないし優越感を持っている人は読んでみると救われる(かもしれない)
なかなか興味深いテーマの本でした。
利き腕が人と違う、というのは別にそこまで決定的な疎外感を持つには至らないものの、常にもやっとした不便さや薄い不満を感じやすかったりします。
特に自分は小学校の書道の時間は嫌いだったな、と思い出しました。
一方で左利きということで人に興味を持たれたり、話のタネ程度にはなったりして得をした、というほどでもないですが特別感を持つこともしばしばありました。
この本はそんな左利きに自信をもって生きていい、とエールを送ってくれる本です。
そういった意味ではマイノリティたちのささやかなバイブルになりえるのではないのでしょうか。
この本は便宜上レフティー賛美の内容になっていますが、見方を変えれば右だろうと、老若男女だろうと関係ありません。
占いと一緒で単なるバーナム効果です。これは著者も狙って書いているでしょう。
大切なのはそれぞれの個性を大切にし、自信をもってそれを伸ばすこととと本のラストでも触れています。
皆違って、皆いい。
あとがきに著者はこう記しています。
『人はみんな、違っていることが前提にあれば、引け目を感じたり、反対に見下したりすることなく、差異を知ろうとするでしょう。
そうした気持ちがあれば、世の中に起きる人間関係の問題の多くは解消するのではないのでしょうか。
また、人が考え、行動するのは脳から始まります。
脳科学の研究を通じて、人間の脳は一生を通じて成長することがわかっています。 自分の脳を知り、思いどおりの力を発揮できる脳づくりをしていけば、だれもが自分の個性を生かした豊かな人生を歩むことができるでしょう。』
なかなか至言だと思います。
堅苦しくはないけど、脳の働きに触れることのできる本書「すごい左利き」。
左利きの人も、左利きに興味を持ってる右利きの人も是非、旅などのお供に。