今から100年前、1923年(大正12年)に起こったことを、私たちのほとんどは直接は知らない。
しかし成人している大半の人たちはこの日本が災害大国であることを身をもって、あるいは画面越しに目の当たりにして知っています。
歴史的な災害である関東大震災からちょうど今年で100年が経ちました。
しかしこれを過去のことだとして対岸の火事と見ている人は少ないはずです。自分が生きている間でも、
北海道南西沖地震(1993年、死者、行方不明者230人)
阪神淡路大震災(1995年、死者、行方不明者6,437人)
新潟県中越大震災(2004年、使者68人)
東日本大震災(2011年、死者、行方不明者2万2000人余り)
熊本地震(2016年、死者273人)
など、50人以上の犠牲者が出た大きな地震を複数目の当たりにしています。
人的な犠牲の少ない地震まであげるとキリがありません。
幸い自身が直接被害を被った経験こそないものの、この日本で生活している限りは他人事でなく、東日本大震災などでは箱根以東の地域に住んでいた人はなにかしらの深刻な被害や生活の支障を被ったという経験も多いはず。
自分もその一人です。
そのほかにも台風や大雨による水害。
直近では世界的なコロナウイルスの大流行で混乱の極みに達しました。
今後も生きている限り予想もしない災害に直面する可能性は常にあります。
困った時に助け合うのはもちろんですが、だからこそ可能な限り自助を心掛けて他人を思いやる余裕を持てるようにしましょう。
そのためには日々の備えが重要です。
といっても常に緊張感を持て、というのは流石に身も心も疲れ果ててしまいます。
そこでおすすめするのは
防災意識を趣味へと転換する
ということ。
アウトドアを趣味として道具を揃え、実益を兼ねてしまおうという提案です。
登山こそ、最大の災害対策趣味
私が登山を始めたきっかけって、防災用品を買い揃えてたのが始まりなんですよね。
ここ10数年大きな地震が相次いで、一部地域で一時期物資が欠乏。
普段の常備が大切だと痛感した私はゆっくりではあるものの、少しづつ防災用品や非常食を買いだめし始めました。
そしてふと思う。これら防災用品を使う防災訓練を個人で行えないか、と。
そしてたどり着いた答えが登山。
備蓄食と飲料。救急セットにライト、雨具に防寒具。
実際に担いで登ってみました。
その時の格好はジーパンにAmazonで購入したなんちゃって登山靴風アウトドアシューズ。
ノーブランドのTシャツにワークマンの防寒ジャケット、ユニクロの長袖ヒートテック、と登山をよくわかってない全身コットンまみれの服装で登った記憶があります。
その後も山登りを続けて、わかってきたことが多々あります。
季節、気温、天気、昼夜の別。屋外は寒暖風雨が常にあり、穏やかな日ばかりではないということ。
災害はそれらを考慮してきてくれるほどやさしくありません。
それに対抗できる装備品をそろえねばなりません。それには登山装備が最強です。
その後、時間をかけて専用の道具を集め続けました。一応スリーシーズンのテント泊装備まではやっとこ揃えました。
登山を始めたきっかけとなった装備は一応今でも防災用品として扱って収納してありますが、ぶっちゃけ現在は予備と言おうか自宅待機組。現役装備に支障が出れば代替品として扱う程度です。
現在の防災用品は登山道具の主力が軸となっています。
これらの違いは性能もさることながら、一番違うのは重量と容量です。
登山用のライトと、市販用のライトとの違い
一例として、ライト関係。
ヘッドライトはホームセンターで買ったアイリスオーヤマのヘッドライト。単4電池3本でおおよそ明るさ100ルーメン程度。連続照射時間は7時間弱。
こちらはアウトドアメーカーであるブラックダイヤモンドのヘッドライト「コズモ」。
2018年の旧式のものですがMAX200ルーメンで45時間連続照射ができる優れものです。こちらも同じく単4電池3本。
大きさもこのくらい違います。アイリスオーヤマのものはちょっとゴツい。
老舗アウトドアメーカーのヘッドライト!
もちろん実用には耐えられますが、被災時間が長期に渡るとバッテリー問題はなかなか重要性を帯びてきますな。
こちらはAmazonで買ったDODというアウトドアメーカーの電池式小型ランタンですが、使用用途はレジャーキャンプを想定しているもの。
こちらのミニランタンはブラックダイヤモンドのジップ。上位機種にボルトというのもあります。
ブラックダイアモンドのミニランタン!
ジップ&ボルト
光量はDODのランタンの方が上でしかもソーラーバッテリー付き。ジップは光量こそそれほどではありませんが、上下両方にタイプの違うライトがついていて室内ランタンと懐中電灯の両方を使用想定した造りになっています。
見方によるっスがこれに関しては性能はDODのほうがいいんじゃないっスか?
そうともいえるが、結構重要な問題もある。
DODのランタンは電池が単3電池3本なのに対して、こちらは単4電池3本とヘッドライトの電池と互換性があります。
自分は携帯ラジオの電池も単4電池で、すべての主要な電気供給は単4電池の方で統一しているのです。予備の電池も長期保存用の単4電池。
どういう形であれ、バッテリーは基本多くの機器で使いまわしができるようにしていた方が、都度必要な道具が結果的に長持ちします。やみくもに道具をそろえるのではなく、重量、機能性、互換性のバランスは重視しておきましょう。
現在の緊急の持ち出し袋を再度確認
もちろんすぐ登山装備を買いそろえろと言っているわけではありません。趣味として始めたら自分のようにゆっくり買い揃えてOKです。
今持っているもので足りないものからそろえるのがいいかもしれませんね。ここに持ち出し装備品の1例を出しておきます。
リュック・・・・20ℓから30ℓ程度のもの。チェストストラップ付が望ましい
救急セット(ファーストエイドキット)・・・セット品を買うのではなく、自分で必要な傷病対策品を厳選するのが良い
飲料・・・・・ペットボトルの水を一人最低500ml×3。市販のものを定期的に入れ替えれば十分だが、購入機会があれば長期保存水がおススメ。
食料・・・・・・えいようかん(5年保存)等の保存用お菓子多数。カロリーも重要ですが飽きが来ないよう甘味と塩味のバランスを考慮すること。基本災害初期の食料に火や水が必要なものは持ち出さない方が良い。どうしてもアルファ化米のような本格的な保存食を入れるのであれば、そのままでも食せるフリーズドライ製法のものを。個人的には市販のパックおかゆもおススメ。
ソフトボトル・・・・プラティパスのようなアウトドア用があればよいが、なければ百円ショップやホームセンターの防災用品で売っているものでOK
エマージェンシーキット・・・携帯ラジオ、ホイッスル、ライト(ヘッドライト、ハンドライト)エマージェンシーブランケット、軍手等
折りたたみ傘、財布(小銭、千円札必要量)貴重品類
保険証などのコピー、筆記用具、連絡先一覧表
タオル、手ぬぐい複数。トイレットペーパー(芯を抜いたものをジップロックに保管)
衛生用品(消毒用アルコール、ウェットティッシュ、ボディシート、歯磨きシート等)
これらを玄関先につめて置き災害初動の時は持ち出せたら持ち出しましょう。
あくまで余裕があって持ち出せるときです。持ち出す暇がないのに探したり、引き返したりは絶対にやめましょう。自分の安全第一です。
アウトドア装備を加えて、災害対策をより強固にする
これらに登山用品を加えてゆく。
ウインドシェル
レインウェア
ツェルト
登山用ヘルメットなど。
ウェアやヘルメットはわかりますが、ツェルト?災害初動にテントいります?
ツェルトを非自立式テントのように立てて使う物と思っている人が多いが、これはかぶったり、体に巻いたりして使用する。
ツェルトとは登山などで遭難や行動不能状態に陥ったときに使用する、緊急用の軽量ビバークシェルターです。
張綱を使ってテントのように三角形につるしてシェルターにもできますが、エマージェンシーブランケットのように保温のために寝袋代わりに巻いたりかぶったり、タープのように使用して日除け雨除けとしても使います。敷物として使ってもOKです。
後、人目のある所でも女性は着替えなどにかぶって使えたりして便利。
銀色のアルミブランケットは携帯には便利ですが、がさがさと音がうるさく耐久性もないので外での使用や長期避難所生活には向かず、意外と使いどころがなかったりします。
所持してない人、これからも予定のない人はポンチョを買っておきましょう。
(100均のものでなく、それなりの値段と作りのもの)
ちょっと機能性は違いますが代用の効く代物です。レインウェアとの兼ね合いもできます。
自分も登山やるっスけど、ヘルメットは持ってないっス。
そういう人は自転車のヘルメットを使うといいぞ。
4月より努力義務化された自転車ヘルメット着用化。
どうせ将来買わなければいけないのなら、それを代用しない手はありません。
使用意図や構造が違うなど、いろいろ意見はあるかもしれませんが、個人的にはかぶらないよりはましだと思っています。持ち出しリュックのすぐそばに置く習慣をつけましょう。
まとめ:防災用品は押し入れにしまっていても意味がない
道具は使ってこそなんぼ。使用してみて初めて分かることがあります。
そのためにあえてちょっと小ぶりの雨の日にハイキングに出かけてみたり、お湯ではなく水でアルファ化米を食してみたり、ちょっとした「不便」を体験してみることが重要です。
自分のそろえている道具がいざというときに役に立つのか。
登山という趣味はそれを確度の高い経験でもって教えてくれます。
購入しただけで備えた気になってはいけませぬ。
道具の本当の持ち主になるには、使って熟達することです。押し入れにしまっておくだけではいざというとき「こんなはずでは」ということになりかねませんよ。