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「これで死ぬ」を読んでこれで死なない心得を!アウトドアライフ必携の書「これで死ぬ」

これで死ぬ(書評)
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発売当初、結構話題になり書店でも平積みになっていた本書。

「これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集」

山と渓谷社より発売。著者は羽根田治氏。

中身はとても真摯に制作された本なのですが、表紙からすると少しユーモラスというか、タイトルと相まって意図せずに少しネタっぽいインパクトのある本作。

ノビ

でも結論から言うとこれは名著です。

アウトドアが好きな人は数多くいると思いますが、すべからく読んでおくべき野外での危機管理を訴える素晴らしい本です。

と同時に大自然の恐ろしさをまざまざと見せつけられ、アウトドアが趣味の私も戦慄すら憶える内容。

山や、川、海は危険がいっぱい潜んでいるというのはどのアウトドア雑誌やメディアでも訴えかけているものですが、この本は危機発信の情報量が他のメディアと一線を画しています。

一体本書「これで死ぬ」の凄みは何なのか。

アウトドアが「死ぬほど好き」という人ほど読んで欲しい本です。

挿絵と事例のシンプルな構成のアウトドア絵本

本を開いてみれば表紙の挿絵と同様の絵柄とそれにまつわる事故事件の事例。

一つの見開きにつき一事例を絵と共にシンプルに描いています。そして死なないための対策を黄枠で丁寧に説明。

死ぬ(死にかけるも含む)事例は全49例。

大別して4章にわけてアウトドアの危険事例を、本当にあった過去の事例を引用し具体的に紹介しています。

1章「山で死ぬ」(22事例)

2章「動物にあって死ぬ」(11事例)

3章「毒で死ぬ」(5事例)

4章「川や海で死ぬ」(11事例)

中にはテレビや新聞で大々的に報道された大事故、大事件も取り扱っており、目にするたびに気を引き締めなければ、と思うのですが、

自分のアウトドア知識から外れた思いもよらない危機事例があったりして、自分の知見の浅さを反省するとともに知れて良かったと心から思うものもあります。

ノビ

本当、今までよく大きな危機に遭わずに済んだもんだ。

特に1章の山で死ぬの事例の多さ。

山を舐めるなというネタ台詞がありますが、改めて人の気配の及ばない場所は恐ろしいところだと再認識せざる負えません。

アウトドアの事故は人が起因するものと自然発生するものに分かれる

本書を読んでいると、基本的には「死」は2つの要素に分かれます。

ヒューマンエラー(人的ミス、不注意)とナチュラルディザスター(自然災害)。

この2つが複雑に絡み合っている事例もあったりするので明確な線引きができるものではありませんが、知識を持って備えていればリスクを最小限に防げる場合と、

避けようのない自然発生的なトラブルもあり、不幸な事故ともいえる事例もいくつかちらほら見受けられます。

しかし入念な事前対策を行うことで圧倒的に野外活動のリスク軽減となるのは事実。

感覚的に8割知識不足、準備不足。2割が避けようのない自然災害。

ノビ

アウトドアに興味ない人からすれば「そんな危険なところ行かなきゃいいじゃん」って意見もごもっともなんですが。

それを言ったら元も子もない。

アウトドア趣味に限らず、何を行うにも大小のリスクはつきものなので、大切なのは必要な知識取得と準備対策を怠らないことだと思います。

本書においては事例を紹介し、対策に触れた後、章の締めとして安全知識を詳しく丁寧にレクチャーしていてとてもためになります。

登山者は必見!第1章「山で死ぬ」

3シーズンウラヤマ登山家の私は最近山から遠ざかっていますが、そろそろ山へ行きたい気持ちがふつふつと沸いてきています。

なのでこの章は自分と最も縁のあるカテゴリとしてじっくり読ませていただきました。

やはり、登山で一番気をつけなければならないことは足元の不注意、事故による転倒、滑落。

他には日頃の体力不足や筋力不足。リスクを無視したスケジュールの強行や疲労、事前準備の際の情報の不足や道具の軽視、天候や季節対策の不足などなど。

自然災害においても、落石や土砂崩れ、雪崩、落雷、暴風など死亡事例がいくらでもありますが、これもその時々の現場の適切な判断や、事前の情報収集などでかなりの割合を防ぐことが出来るのも事実です。

ノビ

それでも人間何が起こるかわからない。突然の発病や怪我、体調不良はとても怖いです。

一番の対策は少しでも懸念や想定外のトラブルがあったら即時中止or撤退すること。

当たり前のことですがアウトドアは楽しむのが目的なので、危険を冒してまで強行する必要はありません。

自分が安全と思える環境で満喫するのが最も良いことだと思います。

レジャーはおろか普段の生活圏でも注意!第2章「動物で死ぬ」

近年ではクマによる人里での獣害事件がクローズアップされていてアウトドアに興味のない人でも他人ごとではない「動物で死ぬ」。

実際目の前に現れたらと思うとゾッとします。

クマやイノシシ、ハチ、ヘビのような大型or攻撃性のある動物はとても恐ろしいのは周知の事実で、これには出会うような場所をそもそも避けるか、行き先で出会う可能性があるなら最大限の対策を練って行かないといけません。

これらの動物はハチを除けば山や森などの草深いところに出向かなければ基本めったに会うことはないケモノ達。

しかし。

本章では本格的なアウトドアでなくとも日常で関連性のある動物での死亡(もしくは重症)事例もいくつか触れられています。

1つは海のレジャーによる海洋生物の毒害。

海は多くの人が手軽に楽しめる夏のレジャー場所の一つですが、海の生物は実は陸の生物よりもはるかに有毒生物が多く、例年刺毒による健康被害が確認されています。

沖合においてもサメや攻撃性のある魚類もいるのでマリンスポーツをする際は注意が必要。

後の1つは、街中でも見かける生活圏に潜む危険生物たちによる害。

前述したハチはもちろんのこと、ダニやアブ、カタツムリやナメクジも人に重大な被害をもたらす毒や寄生虫を持っています。

ノビ

ハチやダニは避けるべき虫だってわかるけど、カタツムリやナメクジって子供は興味持っちゃう生き物ですよね~

ツノ出せ、ヤリ出せ、目玉出せ~。

でおなじみのカタツムリは広東住血線虫の幼虫が寄生している可能性あり。

子供のころ平気でカタツムリ触っていた記憶があります。今考えると恐ろしいことをしていたんだと実感。野菜などにも付着している可能性があるので、サラダなど生で食す際には流水でしっかり洗いましょう。

山や海の幸大好きな食いしん坊は注意!3章「毒で死ぬ」

山の恵みキノコや山菜。

海の恵み魚に貝に、甲殻類。

季節ごとにおいしい自然の恵みの数々ですが、これを自力で取得するには正しい知識が必要です。

わかりやすく禍々しい見た目をしているものは避けようがありますが、有毒のキノコや山菜の中には地味な見た目でしかもおいしいキノコや山菜と酷似しているものもあって、物によっては専門家でもわかりにくいものがあります。

2章でも紹介した通り、特に海は有毒生物の多いことに驚きます。

貝類は食べられるものでも食中毒の危険性があり、魚類ではフグなど専門家が捌かなければ食せないものあるので安易に釣った魚を種類が分からないまま食べるのはご法度。

個人的に衝撃だったのはウモレオウギガニというカニが大人一人を葬り去ることのできる致死量を持つ毒を有しているという事例でした。

ノビ

カニってそんな猛毒があるものがいたとは知りませんでした。

やはり素人が知識もなく海や山のものを採集してはならず、そういった行為に及ぶ際には専門家の指導の下、しっかり知識経験を蓄えてからやらなければいけないようです。

夏場は特に注意!第4章「海や川で死ぬ」

山は疲れるから嫌い、と登山とは縁遠い方はいると思いますが、海や川に関してはレジャーとしていかれる方は多いのではないでしょうか。

海や川のレジャーは釣りや海水浴、マリンスポーツに舟遊びと幅広く楽しいものですが、レジャー人口の多さに比例して水難事故は山の事故よりもはるかに多く発生しています。

とりわけ海の力は特に荒れていなくともとてつもなく強く、沖合に流されたりしてなすすべもなく被害にあうということが事例としていくつも挙げられています。

陸上生物の人間はひとたび海や川でピンチに遭ったらひとたまりもありません。

山においてはトラブルに遭遇した際何とかする猶予がある瞬間も少なからずありますが、水の中では本当に無力ということをこの章を読んで実感します。

ノビ

自分は泳ぎが苦手なせいもあってそれほど海や川のレジャーに関心がないですが、水難時の心得はためになりますね。

着衣泳法や背浮き、沖合に流された際の離岸流の対策など、いざという時知っているか知らないかで明暗を分ける安全知識が詳しく記されていて勉強になりました。皆さんも興味があったら是非勉強しておくことをおススメします。

まとめ:本書「これで死ぬ」は外出レジャー時に持っておくべきバイブル

アウトドアに深い造詣のある方もそうでない方も、多かれ少なかれ外遊びというものに経験があり関わり合いがあるのが普通だと思います。

普段は街にいるといっても自然とは切っても切り離せないのが人間社会。

いつ何時どんな野外のトラブルに遭遇するかわかりません。

過去の事例を知り、その教訓をもとに安全知識を学ぶことは決して無駄ではないと思います。

そのためのネタが詰まりに詰まったアウトドア絵本ともいうべき「これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集」

わかりやすく、丁寧で、インパクト大。アウトドア危機管理警鐘の良書です。

本書の著者である羽根田治氏は他にも「野外毒本」「レスキューハンドブック」などアウトドアにおける安全知識を高める本を数多く執筆しています。機会があれば是非。

本書や上記の書籍を本棚にラインナップとして持っておくのはもちろんとして、スマホの中の電子書籍の一冊として持っておくといざ事例に遭遇したとき即座に対応できて便利かもしれませんよ。